松本平ゼロカーボンコンソーシアムで講演

8/9に信州大学松本キャンパスで松本平ゼロカーボン・コンソーシアム定例フォーラムが開催され、私たちが取り組んでいる高断熱賃貸や非住宅施設の断熱化についてリクエストをいただき講演しました。
オンライン併用開催で多数の企業と行政からの参加がありました。

今回は企業の方中心でしたので非住宅施設学校やオフィスは、既に今ある技術でそれほどのお金をかけることなく脱炭素できます。
別に高価な特殊技術や独自システムを使う必要はありません、エコハウスのように断熱・日射取得・再生エネルギーを搭載するだけです。
換気負荷がエコハウスに比べる多いですが、給湯需要が少ない分むしろエコハウスより楽にカーボンニュートラルにしやすいと考えます。

質疑応答は信州大学工学部 高木直樹教授の司会で補足と解説を頂き、参加された多くの企業と自治体の方々が今の技術と現実的な予算でこうやれば脱炭素建築はできるし、なぜ今までやらなかったのだろう、次はやろうと思っていただける回になったのではと思います。

空き家断熱賃貸「作り手たちのアトリエ」完成のお知らせ

2023年7月26日
断熱推進イニシアチブ合同会社

断熱推進イニシアチブ合同会社(本社:長野県佐久市、代表:木下史朗)は、自社初の保有物件として断熱により省エネルギー、健康的、安全性を賃貸でも提供することを目標とした「作り手たちのアトリエ」プロジェクトが完成いたしましたことを、お知らせいたします。

1.建物名:
作り手たちのアトリエ

2.会社名:
断熱推進イニシアチブ合同会社

3.建物概要:
建設地 : 長野県北佐久郡軽井沢町追分
階数  : 地上2階
構造  : 木造
床面積 : 67.05㎡ + ガレージ 36.27㎡

4.断熱概要
天井 :吹込みGW13kg/㎥ [0.051W/(㎡・K)] 500mm
壁  :充填HGW16kg/㎥ [0.038W/(㎡・K)] 105mm
    付加PIRフォーム [0.021W/(㎡・K)] 75mm
床  :充填PIRフォーム [0.021W/(㎡・K)] 75mm

5.開口部仕様
南方向 :トリプルシャノンIIx ESクリア
他方向 :トリプルシャノンIIx ESクリアスーパー
玄関  :ガデリウス スウェーデンドア [0.77W/(㎡・K)]

6.換気仕様
寝室  :第1種熱交換換気
他   :第3種換気(OAエアコン *壁掛エアコンによる給気空調処理方式)

7.代表コメント:
パッシブハウス・メソッドを空き家に展開しローコストで環境性能の高い賃貸にリノベーション

現在人類が抱える最大の課題は「脱炭素社会への移行」で、日本も2030年46%減、2050年ゼロカーボンを国際公約していますが、このペースで進めていても間に合いそうもありません。にもかかわらず、この社会はエネルギーをたくさん使い、健康に悪く危険な建物を放置するどころかまだ作り続けています。そうして地方はインフラが必要以上に拡大し、空き家だらけの街並みになりました。

今回のプロジェクトで取り組んだのは、そうした社会課題を解決する「空き家断熱賃貸」です。空き家を賃貸にするというのはよくある話で、また自宅の性能向上リノベーションについてはノウハウが確立され事例が増えてきました。しかし空き家を取得して耐震補強、付加断熱や樹脂トリプル入れるちゃんとした断熱改修をし、賃貸住宅として提供するのは見たことがありません。

フルスケルトンにして耐震改修、断熱Ua値0.28まで改修した今回は、工夫してもかなりの工事費を必要としました。普通の賃貸経営と逆ですが、金融機関様に後押しをいただき、こういうのをやるべきだとわかっていることを実行することができました。また実際に手掛けてみて個別に空き家を直すことの大変さ、PM、施工会社、大工さんへの負荷もわかりました。

今後はこうした賃貸住宅の普及に向けた情報提供、コンサルティングを行うと同時に、集合住宅案件に取り組みたいと考えています。

以上

合同研究会で断熱と高性能木造建築について講演

6/15に信州大学工学部で合同研究会in信州が開催され、高性能木造建築について講演しました。
(主催:信州の快適な住まいを考える会、参加団体:住まいと環境 東北フォーラム、ソトダン21の家、岩手住環境技術研究会、日本バウビオロギー研究会)

これまでの半世紀は情報技術が世界を変えました。いま人類の最大の課題がカーボンニュートラル、社会全体が脱炭素に変革していく中で、注文住宅以外の建物もエコハウスみたいにしましょうという内容です。ITで多くの商売が消滅したように、脱炭素で自動車がEVにとって替わられようとしています。そのすぐあとに建築もでしょう。エコハウスを作れる工務店はリードできるし、してほしいなという内容でプレゼンしました。

翌日は木下建工新本社と六花荘のサイトツアーでこのような話をしました。

日本政府は、2030年に50%削減へ挑戦することを日本のNDC(国が決定する貢献)として宣言し、国連に提出していますが、ここ長野県は日本政府より野心的な2013年比60%削減を目標としています。

世界に目を向けると、カーボンニュートラルへの取組は「仕方なくやらなくてはならない」ことではなく、世界の新たな成長戦略と考えられており、各国がGX(グリーントランスフォーメーション)により、温室効果ガスの排出原因となっている化石燃料などから脱炭素ガスや太陽光・風力発電といった再生可能エネルギーに転換して、経済社会システム全体の変革を目指しています。

世界的な成長企業も積極的に取り組んでいて、Appleは2030年までに製造サプライチェーンや製品ライフサイクルのすべてでカーボンニュートラルを実現すると表明しています。(2020年7月)また世界的な半導体メーカーのTSMCは巨大な半導体工場を熊本県菊陽町に建設中ですが、操業開始の2024年9月から、全電力を再生可能エネルギーで賄う予定です。そのために再エネが潤沢な九州電力管内であることも熊本県に決めた一因とされています。

そうした背景がある一方で非住宅建築には課題が多いです。2050 年には既築・新築平均でゼロカーボンを達成するのが目標ですが、2023年になろうとする現在時点でもそうでない内容で多くの施設が建てられ続けています。

近年の日本人は、簡単に実現できることを目標にしてしまいます。

難しくても、いや困難だからこそ挑戦しないと次のテスラやAppleのような企業は日本から生まれてこないと思います。東海道新幹線、トランジスタラジオ、CVCCエンジンなどを産み出した世代は人類の課題を世界に先駆けて解決し成功してきました。

このまま負け続けるのか、それとも挑戦するのか。どちらのほうがいいプロジェクトや面白い人生になるのか、オーナーを焚きつけ、あるいは自分自身でやって、みんなで明るい未来を作っていこうと話し多くの方に伝わったようです。

大日向小学校断熱DIYワークショップ

大日向小学校の保護者有志「大日向エネルギー会議」によって、保健室断熱DIYワークショップが開催されました。僕は保護者ではありませんが、昨年から相談を受けており、当日はアドバイザーとして参加してきました。

佐久穂町が保有していた廃校を転用した大日向小ではこれまでエアコンがついている教室がなく、万が一の体調不良で運ばれてくる保健室も同様。コストの問題、エネルギーの問題から断熱して家庭用エアコンで冷房することにしました。

今回はこれまでのワークショップと異なり「夏の暑さ」を解消するのが主目的。地元の工務店新津技建さんに教わりながら、参加者で断熱材を入れ、石膏ボードを貼り、ファイバーテープ、パテを使っての下地処理。カーボンコートを塗って初日は終了。家のリフォームなどで実践できる有意義なワークショップとなりました。

同時並行で内窓建具を組み立て、ヒノキの心地よい香りが広がる中ポリカーボネートの縦桟に木を入れていきます。
翌日に漆喰仕上げで完成!大日向小学校らしいオリジナリティあふれる保健室断熱DIYになりました。

ネオマフォームは旭化成建材様より提供。今回断熱DIYワークショップでは初めて市販品ではなく、工場で一定数出てしまう、汚れ軽微な傷などが原因で出荷できないものをいただきました。いつもはリサイクルしているとのことですが、やはりエネルギーを使うので理想は断熱材としてそのまま使うのがいいとのこと。
建具のポリカ中空板は地元の建材商社カネト様より提供いただきました。

いま日本各地の自治体が所有する公共施設の3-4割は学校とされています。その学校は多くが無断熱の建物です。1.5℃目標達成のために、日本政府として2030年度に温室効果ガス排出2013年度比46%削減、更に50%削減の高みを目指すことを国際公約としています。
にもかかわらず今ある学校は断熱されていないし、ほとんどの新しい建物も断熱レベルは高くありません。
教育環境の向上のみならず確実に実行できる温暖化政策として、草の根から学校の断熱化を訴えていきたいです。

佐久穂町で空き家と断熱をテーマに講演

「住まいと教室の『断熱』勉強会」と題し開催された会で、佐久穂町で講演を行いました。4月末のゴールデンウィーク中に大日向小学校保健室で断熱改修DIYワークショップを計画しており、そこに向けて地域の方々に気候変動と断熱を知っていただきたいという趣旨です。

勉強会ではまず東北芸術工科大学の竹内昌義先生より、なぜ断熱が必要なのか、地球温暖化や社会情勢などの背景に始まり、具体的な断熱DIYの手法や事例、長野県内の学校での取り組みなど、網羅的にお話しいただきました。

僕のパートでは、断熱の効果についてと、軽井沢で先日着手したリノベ「作り手たちのアトリエ」を題材に、「どうやってやるのか」「費用と時間がどのくらいかかるのか」を説明。

大日向小学校の関係もあり移住者は多いけれど良質な賃貸はなく、一方で空き家はたくさんあります。空き家の持ち主にはこうすれば放置している建物を活用できる、また家探しをしている人にはこうすれば費用を抑えて性能のいい家を手に入れることができると思ってもらえるような話をしました。

多くの人に身近な話題として聞いていただけたと思います。

質疑応答では、参加された方々から自宅の寒さや改善策について色々質問が出て、非常に活発な時間となりました。地域のみなさんがどなたでも参加しやすいようにと、あえて事前申し込み制にしなかったところ満員、一部の方々にはサテライト会場でオンラインで観ていただくほどとなり、関心の高さがうかがえました。

岩村田高校断熱DIYワークショップ

岩村田高校で断熱改修DIYワークショップが開催され、岩村田高校および長野県佐久地域振興局からの依頼でサポーターとして参加しました。

長野県にて断熱改修ワークショップのための予算を計上頂いており、加えて旭化成建材株式会社様より断熱材「ネオマフォーム」を提供いただきました。

断熱についての事前レクチャーからお手伝いしていて感じたのは、課題を発見し、情報収集。そうして自分たちが気候変動に対し何かできることはないか考え実践していくという一連のプロセスは、探究的な学びと親和性が高いということです。

当日は作業はもちろんのこと、その効果をサーモカメラで確認することで「断熱すごいすごい」と声が上がっていました。

みんな楽しく仕事し、一日で内窓と壁断熱ができました。 探究の学びでの疑問から始まって、建物の環境改善や、気候危機に対して自分たちでもできることがあるって感じてもらえたのが嬉しかったです。

いまワークショップを計画している小学校の関係者にも見学してもらい、

「はがされたとき全教室快適だといいなぁ」

まったくですね。2030年まであと7年、温室効果ガスを排出せず快適に過ごせるよう断熱するのが大人の責任だと思います。