八ヶ岳エコハウス「ほくほく」イベントで話をしました

6/14に八ヶ岳エコハウス「ほくほく」でイベントがあり、呼ばれて「高性能賃貸」の話をしてきました。

建築関係者や賃貸経営者(これからの方も)向けということで、「聞くと高性能賃貸を作りたくなる」ような内容で構成しました。

「ほくほく」とは

「八ヶ岳エコハウスほくほく」は「斎藤健一郎」さんがオーナーの断熱リノベ住宅です。14年前、東日本大震災が発生した時に、新聞記者として福島県に赴任していた斎藤さんは、福島第一原子力発電所の事故によって引き起こされた現実に直面します。

もう2度とこんなことは起きてほしくないし、起こしてはいけない、そう思った斎藤さんは自分が今できることは何かと考えて、電気の契約を本当の最低限にする「5アンペア生活」を始めました。

(著書「5アンペア生活をやってみた」あの時の日本国民の気持ちを思い出すすごくいい本です)

そんな斎藤さんは「5アンペア生活」を東京、名古屋で工夫しながら続けましたが、家族ができ自分本位の我慢する省エネは限界があることを悟ります。そしてエネルギーをなるべく買わない暮らしを実現するべく購入したのが、田舎でよくある築40年の空き家。

標高600m近く、日当たりのいい場所、ここなら夏涼しく冬暖かく暮らせるのではないか。そう考えた斎藤さんは期待を大きく裏切られます。

家を手に入れはじめて迎えた夏。標高600メートルだから涼しく快適だろうと思っていた家は、暑すぎたのです。室温は35度になり、とても過ごしてはいられないと東京に避難したそう。

また冬は朝方、室温は1度を切り、台所では鍋の水が凍りついていたとのこと。

築40年のこの家は、ほぼ無断熱の家だった。なんとかしないと、、、そうして斎藤さんは断熱に出会ったのです。

断熱材をいれ、窓を性能の良いものに変え、設備はエネルギーと向き合って生きてきた結果のオフグリッド。太陽光発電に手作り感あふれる鉛蓄電池のシステム、給湯は太陽熱温水器。

驚いたことにこれらの改修工事に使われる工具もできるだけ太陽光発電で充電したそうです!この数年数々のエコハウスを訪問していますが、そんな話は聞いたことがありません。そうして出来上がった建物は、冬はトリプルガラスからの日射取得と薪ストーブ。夏は発電した電気でエアコンをつけ快適に過ごせるものとなりました。

「5アンペア生活はもうやめた」

断熱して適切な設備を構築すれば無理しなくても、我慢しなくても再生可能エネルギーで過ごせるから。それを実際に見て体験できるのが八ヶ岳エコハウス「ほくほく」です。

―八ケ岳エコハウス「ほくほく」プロジェクト―① 節電記者、築40年の空き家を買う | 朝日新聞 2030 SDGs (asahi.com)

第1部

イベントの第1部は斎藤さん解説の「ほくほく」見学ツアー。

3.11が発生し、どういうことを感じ考えて5アンペア生活を始めたのか、そしてほくほくに辿りつくまでを、省エネ活動をしている一般社団法人「Forward to 1985 energy life」からライブ配信しました。

続けてどのようにして、暑くて寒い空き家を再エネ100%で過ごせるエコハウスにリノベーションしたのか、くまなく見せていただきました。

室内は夏のピークでも100V 6畳用エアコンで家じゅう涼しく室内は快適というだけあって、6月半ばに参加者含めて25人入っているのに涼しく過ごせます。築40年の建物をリノベでオフグリッドにしていると聞いて想像するものととは全く違います。

エコハウスで床断熱だと高断熱点検口というものを使うことが多いですが、ほくほくはリノベを見てもらいたい施設ということで床断熱が見れるようになっています。床にこの厚み!が暖かくて涼しい家をつくるポイントです。

公道側からのファサードは、付加断熱したうえに木の外壁で整えられています。山崎屋木工のトリプルが存在感があっていいですね。

給湯は日本初の太陽熱温水器「チリウヒーター」によって賄っているそうです。ほとんどこれでまかなえるそうですが、もし雨でお湯が沸かなくても、補助の薪ボイラーがあるためお風呂を我慢せず暮らせると見せていただきました。

第2部

第2部はリクエストいただき、私から近年盛り上がりつつある「高性能賃貸」についてプレゼンと質疑応答しました。

大工さん、建築関係者さんの参加が多かったことから、「一般的なアパート経営者より上物に関しては必ずいいものがリーズナブルに実現できる優位性がある。」「僕らが高性能賃貸を増やしていきましょう」というメッセージが響いたとのことです。

懇親会

近くの温泉でお風呂に入り(いいお湯でした)懇親会。地元のジビエの名店「さの屋」がすごかった!!

ジビエ居酒屋と呼ばれているそうで、「地方の居酒屋大好きマン」としてはやはり地方に行ったらそういうお店でご飯食べたいですよね!

なぜか隣の席で飲んでいたお客さんが釣ってきた魚をいただいたり、猪のしゃぶしゃぶを生まれて初めて食べました。「さの屋」さん、最高です!!

美味しいお料理をたくさんいただき興奮冷めやらず、「ほくほく」に戻ってきて少し懇親して宿泊しました。

翌朝起きてチェックしたのは蓄電池の残容量。太陽光で発電し蓄電する場合、朝まだ発電し始める直前に最も容量が低下します。その時点で19kWhの84%と、鉛蓄電池の自主管理閾値50%までまだかなり余裕があります。

もちろん定住していないので普段満充電になっているというアドバンテージはありますが、前日もイベント中ほとんど雨が降っていましたし、太陽光パネルは2.7kWと最近の住宅に搭載されている容量と比較して1/2~1/3くらいの量です。

僕は蓄電池を入れた物件がまだなく、半信半疑だったのですが、数字を見てこれなら電気オフグリッド生活が実現可能だと実感しました。

いい2日間になりました。斎藤さん、企画の河合さん、駆け付けてくださいった梶原さん、参加いただいたみなさんありがとうございました。

教室断熱ワークショップ長野県サミット

25/2/27に長野市+オンラインで「教室断熱ワークショップ長野県サミット」が開催されました。当社はこれまで複数の学校でワークショップの準備、当日のサポート、関連講演等をしており、協力として出席しました。

実施校からの報告

学校からは、小海高校、白馬高校、当社もかかわった大日向小学校の3校から報告がありました。それぞれワークショップの様子や実際の温度変化など報告があり、明らかに改善したことが数字で示されました。また生徒や保護者に学びという点でも有意義だったとの事です。

印象的だったのは白馬高校。スノーリゾートとして温暖化に対する問題意識を共有しており、先進的な街づくりを進める「ニセコまち」プロジェクトを視察。そこで高断熱木造役場や、高性能賃貸を体感し、暖房をほとんど使っていないのに玄関を入った時から空気が違うことに驚いた様子。廊下やトイレが寒くない、ちゃんと断熱するとここまでできるのかと体感して伝えていきたいとのことでした。

パネルディスカッション

各校からの報告後には、生徒の立場から、教職員の立場から、そしてサポートしてきた建築家の立場からワークショップの効果と今後について行われたパネルディスカッションが行われました。

本来は断熱なんて公共事業で、大人の責任でやるべきことなんだと建築家の竹内さん。その一方、温暖化に対して自分の力で何かできるなんて思わなかったけれど、ワークショップで「できることがある」とみんなが感じたというのが当時高校生で企画した桑田さん。教職員の上條さんからも自分たちでも手を動かすことで、無力感をくつがえし、学びにつながっているという話がありました。

いま日本各地の自治体が所有する公共施設の3-4割は学校とされています。その学校は多くが無断熱の建物です。1.5℃目標達成のために、日本政府として2030年度に温室効果ガス排出2013年度比46%削減、更に50%削減の高みを目指すことを国際公約としています。


にもかかわらず今ある学校は断熱されていないどころか、統廃合や生徒数増加で新しく建てる学校もたいした断熱がされておらず怒りすら覚えます。
教育環境の向上のみならず確実に実行できる温暖化政策として、草の根から学校の断熱化を訴えていきたいです。

断熱改修はじめの一歩 2.0(長野県上田地域振興局)

25/1/29に長野県上田地域振興局主催で「断熱改修はじめの一歩2.0」というイベントが開催され講演しました。昨年好評だった企画を、今回は県内各地で実践したい公共機関や団体向けに平日で実施したものです。去年の内容はこちら。

講演

第1部は私のパート。「断熱改修はじめの一歩 2.0」と題し、日本における住宅断熱性能の現状、断熱改修の実例などを講演。各種助成についても最新情報をお伝えしました。

本格的な断熱改修の事例をお伝えしたうえで、「はじめの一歩」としての内窓についてその表面温度を上げる効果について説明しました。

内窓制作ワークショップ

第2部は現役の大工・建具職人で技能五輪家具部門メダリストの窪田智文さん指導のもと、参加者2,3人一組でホームセンターの内窓キットDIYに挑戦!

今回は家の北側のトイレ、脱衣所といった場所の窓枠にみたてた木枠をあらかじめ主催で用意しておき、その中に内窓を作るという実践的なワークショップ。枠の大きさはテーブルごとにまちまちです。

寸法の測り方と間違えの無い確認方法、差金、鋸の使い方など窪田さんの丁寧な説明により無事すべてのグループが制作できました。

今回20人定員のところ30人以上の参加があり、活発な質疑やワークショップになりました。9割以上の方が寒くて暑い家や事務所にお困りとのことでした。

建物の中どこでも快適でエネルギー消費量も少ないという状態にするのが望ましい、でも本格的な断熱改修が必要でハードルは低くありません。内窓もリビングなど大きな窓は地域の建設会社、工務店にお願いするのが良いですが、賃貸などではオーナーを説得する必要があります。ネジや釘を使わない今回のイベントが、まずトイレ、脱衣所などで効果を実感いただき、断熱について考える「はじめの一歩」になれたら幸いです。

第3回パッシブハウス軽井沢視察ツアー

11/28に「第3回パッシブハウス軽井沢視察ツアー」(主催:一般社団法人ロングライフ・ラボ)が開催され、講義と質疑応答を行いました。

私のテーマは「高性能木造で施設をつくる」

高性能施設を建てて実際の光熱費、コストメリット、美しくエコな公共施設やオフィスは脱炭素への関心が高い成長産業を地域に呼び込む力となる可能性があることなど、高性能な非住宅の可能性を説明しました。

私の出番は午前の部。イベント自体はお昼を挟んで一日続き、午後は建築家森みわさんの自邸「信濃追分の家」を見学し、家に限らず衣食住までレクチャーがあったそうです。

次回は2025年2月開催予定とのこと。参加ご希望の方はロングライフラボのWebサイトをチェックしてみて下さい。

「第8回日本エコハウス大賞」にて奨励賞受賞

2024年7月29日
断熱推進イニシアチブ合同会社

断熱推進イニシアチブ合同会社(本社:長野県佐久市、代表:木下史朗)は、自社初の保有物件「作り手たちのアトリエ」プロジェクトが、脱炭素時代の美しい住宅を表彰する設計実例コンテストである「第8回日本エコハウス大賞」にて奨励賞を受賞いたしましたことを、お知らせいたします。

1.建物名:
作り手たちのアトリエ

2.会社名:
松代建設工業 + 断熱推進イニシアチブ

3.建物概要:
建設地 : 長野県北佐久郡軽井沢町追分
階数  : 地上2階
構造  : 木造
床面積 : 67.05㎡ + ガレージ 36.27㎡

4.受賞区分:
奨励賞(リノベーション部門)

5.代表コメント:
空き家断熱賃貸の意義

現在人類が直面している最大の課題は「脱炭素社会への移行」である。日本も2030年までに温室効果ガス排出量を46%削減し、2050年にはゼロカーボン社会を実現するという国際公約を掲げているが、目標の達成は容易ではない。家庭部門においてはエネルギー消費が多く、健康を害する危険な建物が放置されたままであり、一方で低性能の新築建設が続けられている。その結果、居住地域の過剰な拡大によるインフラの維持管理費用、空き家の増加といった地域社会での課題が発生している。

今回の「作り手たちのアトリエ」プロジェクトは、これら社会課題に対する解決策の提案として進めた。近年空き家の活用については様々な試みがなされているが、本格的な性能向上を施して賃貸住宅として再利用することはまれである。本プロジェクトでは、解体予定の土地として取得した空き家をフルスケルトンにして耐震補強し、断熱性能をUa値0.28まで向上した。多額の投資が必要であったが、金融機関のサポートと先進的窓リノベ事業を受けると同時に、SNSの活用と賃貸借契約を工夫し、一般的な賃貸住宅で発生している土地建物以外の間接費用を極力削減でき実現した。

物件は制作者向けのスペースとガレージを備えた建物の特徴に加え、「ないものは作ればいい」という姿勢、あるべき社会の未来を作る決意から、「作り手たちのアトリエ」と名付けた。この取り組みが、地域社会における課題解決の一助となり、より良い未来を築くための実践例となることを期待している。

以上

SUUMOジャーナルへの掲載

1月20日に上田地域振興局で行われたイベント「断熱改修はじめの一歩」。
その様子がSUUMOジャーナルに掲載されました。

https://suumo.jp/journal/2024/04/01/201396

とても充実した記事、ありがとうございます。
今回講演して本当にみなさんの暑くて寒い住環境を何とかしたいという切実な思いが寄せられました。たくさんのニーズがあることが分かったので、こうした講演は今後も広げていくべきだと感じています。ぜひ自分たちの地域でもとお考えの行政機関、受託された団体様など、講演依頼はコンタクトフォームよりお願いします。

ゼロカーボンナビゲーター養成講座

長野県地球温暖化防止活動推進センター主催「ゼロカーボンナビゲーター養成講座」(環境省・令和5年度地域における地球温暖化防止活動促進事業)で講義しました。

全5回で脱炭素社会づくりを担う人材を養成する講座の第5回「断熱の基礎知識と長野県における各種事例」を担当。

断熱とはどういうことか、いまなぜ断熱が必要なのか地球温暖化との関係で説明するとともに、断熱するとどのような室内環境になるのかを解説。たくさんの質疑が出て関心の高さがうかがえました。

特に空き家の断熱改修についての質問が多かったです。個人的にも今後は新築より既存ストックの問題に取り組みたいと考えていて、皆さんの参考になる事例がまたできればなと思います。

断熱研究会での発表

2/12は御代田町で開催された「断熱研究会」から頼まれ発表しました。

第一部トークショーは廃止された農協の拠点を改修したコワーキングスペースGokalabです。改修時に断熱はされず無断熱のRC建物になります。

まず竹内理事から「なぜ断熱が必要なのか」講演があり、脱炭素社会のことを参加者が知り考える内容でした。また、コペンハーゲンの事例をご紹介いただき「やればできるし、取り組まないといけない」と思わされるプレゼンでした。

続いてSuumo編集長池本氏から「既存住宅の省エネ表示検討状況」について、海外の事例紹介と日本の現在地を紹介いただきました。20分間知らない事ばかりでなるほどなとたくさんのメモを取りました。お二方のトークの掛け合いがおもしろく、また内容が貴重で非常に興味深いものでした。

現地参加者に建築関係者が少なかったのがもったいないくらいでした。

そのあと僕から事例紹介でこれまでの取組を簡単に説明し、第二部の内窓ワークショップ。DIYとかするわけではなく、事前に工務店さんがつくった木製内窓をはめ込むだけでしたが、参加者みなさん表面温度の違いは感じたようです。

第三部で場所を変えNHQ1の見学ツアーを行いました。給湯需要の少ない非住宅は断熱によるエネルギー削減効果がより大きく出ます。高校生から不動産企画の方まで活発に質問が出て、こういう風にしていきたいという感想だったので公開してよかったなと思いました。

『「断熱」が日本を救う』への掲載

ジャーナリスト高橋真樹さんの最新著書『「断熱」が日本を救う』
行政や業界の怠慢によって引き起こされた寒くて暑い日本の住宅。それによって発生しているエネルギーや健康上の問題を網羅しています。
また長年にわたる取材でどうすれば良いのか、国内海外の具体的な事例豊富で大変参考になります。
これから家を建てる建てないに関わらず、社会課題としての断熱をおさえるため必読の書です!!

私たちのプロジェクト「作り手たちのアトリエ」についても取材いただき、空き家問題、断熱リノベについてや、やってみて感じたことなど4ページにわたって書いていただきました。

自社が取材されたとか関係なく、内容が最高におすすめできます。ぜひ読んでみてください。

断熱改修はじめの一歩(長野県上田地域振興局)

1/20に長野県上田地域振興局主催で「断熱改修はじめの一歩」というイベントが開催されました。

講演

そのものずばり「断熱改修はじめの一歩」というタイトルで、断熱とは何か、どうして家が寒いのか、どう改善すればよいのかと事例を講演しました。

あいにく大雪が警戒される悪天候のなかでしたが、たくさんの方にご参加いただきました。やはり、ほとんど全ての方が寒い家に悩んでいるようです。住まいは昭和一桁の古民家から築20年くらいの2×6や高気密高断熱住宅まで様々でこれは国民的な問題だなと感じました。


講演後にたくさんの方が話しにきてくれたのですが、上田だけでなく北信や中信の方もいました。リノベをしてもらったのに寒いという方も複数名おり、気流止め無い感じの症状です。長野県は北海道のような家作れる会社が本当に少なかったので、リフォーム済みでもストックの状況は悪いです。

第1部は私の講演と、上田の工務店クボケイさんによる「ホームセンターで売っている内窓キット設置のツボ」プロから、取扱説明書には書いていないけどあったほうがいいものや気を付ける点などのレクチャーがありました。

そしてワークショップ

第2部はクボケイさん指導のもと、アルミで寒い会議室に参加者がホームセンターで売ってる内窓キットDIY!役所でこのようなワークショップができるとは、長野県すごいです。

性能的にはメーカーの内窓と比べようも無いですが、説明を聞いた直後に自分たちの手で作ると断熱への理解が進むという声が聞かれました。初めましての人たちが家の寒い場面などを話しながら共同作業して、打ち解けて行くのもいい感じでした。

完成後に開けてみて冷輻射を体感し、またサーモグラフィで撮影してみて違いを実感することができました。