ゼロカーボンナビゲーター養成講座

長野県地球温暖化防止活動推進センター主催「ゼロカーボンナビゲーター養成講座」(環境省・令和5年度地域における地球温暖化防止活動促進事業)で講義しました。

全5回で脱炭素社会づくりを担う人材を養成する講座の第5回「断熱の基礎知識と長野県における各種事例」を担当。

断熱とはどういうことか、いまなぜ断熱が必要なのか地球温暖化との関係で説明するとともに、断熱するとどのような室内環境になるのかを解説。たくさんの質疑が出て関心の高さがうかがえました。

特に空き家の断熱改修についての質問が多かったです。個人的にも今後は新築より既存ストックの問題に取り組みたいと考えていて、皆さんの参考になる事例がまたできればなと思います。

断熱研究会での発表

2/12は御代田町で開催された「断熱研究会」から頼まれ発表しました。

第一部トークショーは廃止された農協の拠点を改修したコワーキングスペースGokalabです。改修時に断熱はされず無断熱のRC建物になります。

まず竹内理事から「なぜ断熱が必要なのか」講演があり、脱炭素社会のことを参加者が知り考える内容でした。また、コペンハーゲンの事例をご紹介いただき「やればできるし、取り組まないといけない」と思わされるプレゼンでした。

続いてSuumo編集長池本氏から「既存住宅の省エネ表示検討状況」について、海外の事例紹介と日本の現在地を紹介いただきました。20分間知らない事ばかりでなるほどなとたくさんのメモを取りました。お二方のトークの掛け合いがおもしろく、また内容が貴重で非常に興味深いものでした。

現地参加者に建築関係者が少なかったのがもったいないくらいでした。

そのあと僕から事例紹介でこれまでの取組を簡単に説明し、第二部の内窓ワークショップ。DIYとかするわけではなく、事前に工務店さんがつくった木製内窓をはめ込むだけでしたが、参加者みなさん表面温度の違いは感じたようです。

第三部で場所を変えNHQ1の見学ツアーを行いました。給湯需要の少ない非住宅は断熱によるエネルギー削減効果がより大きく出ます。高校生から不動産企画の方まで活発に質問が出て、こういう風にしていきたいという感想だったので公開してよかったなと思いました。

断熱改修はじめの一歩(長野県上田地域振興局)

1/20に長野県上田地域振興局主催で「断熱改修はじめの一歩」というイベントが開催されました。

講演

そのものずばり「断熱改修はじめの一歩」というタイトルで、断熱とは何か、どうして家が寒いのか、どう改善すればよいのかと事例を講演しました。

あいにく大雪が警戒される悪天候のなかでしたが、たくさんの方にご参加いただきました。やはり、ほとんど全ての方が寒い家に悩んでいるようです。住まいは昭和一桁の古民家から築20年くらいの2×6や高気密高断熱住宅まで様々でこれは国民的な問題だなと感じました。


講演後にたくさんの方が話しにきてくれたのですが、上田だけでなく北信や中信の方もいました。リノベをしてもらったのに寒いという方も複数名おり、気流止め無い感じの症状です。長野県は北海道のような家作れる会社が本当に少なかったので、リフォーム済みでもストックの状況は悪いです。

第1部は私の講演と、上田の工務店クボケイさんによる「ホームセンターで売っている内窓キット設置のツボ」プロから、取扱説明書には書いていないけどあったほうがいいものや気を付ける点などのレクチャーがありました。

そしてワークショップ

第2部はクボケイさん指導のもと、アルミで寒い会議室に参加者がホームセンターで売ってる内窓キットDIY!役所でこのようなワークショップができるとは、長野県すごいです。

性能的にはメーカーの内窓と比べようも無いですが、説明を聞いた直後に自分たちの手で作ると断熱への理解が進むという声が聞かれました。初めましての人たちが家の寒い場面などを話しながら共同作業して、打ち解けて行くのもいい感じでした。

完成後に開けてみて冷輻射を体感し、またサーモグラフィで撮影してみて違いを実感することができました。

松本平ゼロカーボンコンソーシアムで講演

8/9に信州大学松本キャンパスで松本平ゼロカーボン・コンソーシアム定例フォーラムが開催され、私たちが取り組んでいる高断熱賃貸や非住宅施設の断熱化についてリクエストをいただき講演しました。
オンライン併用開催で多数の企業と行政からの参加がありました。

今回は企業の方中心でしたので非住宅施設学校やオフィスは、既に今ある技術でそれほどのお金をかけることなく脱炭素できます。
別に高価な特殊技術や独自システムを使う必要はありません、エコハウスのように断熱・日射取得・再生エネルギーを搭載するだけです。
換気負荷がエコハウスに比べる多いですが、給湯需要が少ない分むしろエコハウスより楽にカーボンニュートラルにしやすいと考えます。

質疑応答は信州大学工学部 高木直樹教授の司会で補足と解説を頂き、参加された多くの企業と自治体の方々が今の技術と現実的な予算でこうやれば脱炭素建築はできるし、なぜ今までやらなかったのだろう、次はやろうと思っていただける回になったのではと思います。

合同研究会で断熱と高性能木造建築について講演

6/15に信州大学工学部で合同研究会in信州が開催され、高性能木造建築について講演しました。
(主催:信州の快適な住まいを考える会、参加団体:住まいと環境 東北フォーラム、ソトダン21の家、岩手住環境技術研究会、日本バウビオロギー研究会)

これまでの半世紀は情報技術が世界を変えました。いま人類の最大の課題がカーボンニュートラル、社会全体が脱炭素に変革していく中で、注文住宅以外の建物もエコハウスみたいにしましょうという内容です。ITで多くの商売が消滅したように、脱炭素で自動車がEVにとって替わられようとしています。そのすぐあとに建築もでしょう。エコハウスを作れる工務店はリードできるし、してほしいなという内容でプレゼンしました。

翌日は木下建工新本社と六花荘のサイトツアーでこのような話をしました。

日本政府は、2030年に50%削減へ挑戦することを日本のNDC(国が決定する貢献)として宣言し、国連に提出していますが、ここ長野県は日本政府より野心的な2013年比60%削減を目標としています。

世界に目を向けると、カーボンニュートラルへの取組は「仕方なくやらなくてはならない」ことではなく、世界の新たな成長戦略と考えられており、各国がGX(グリーントランスフォーメーション)により、温室効果ガスの排出原因となっている化石燃料などから脱炭素ガスや太陽光・風力発電といった再生可能エネルギーに転換して、経済社会システム全体の変革を目指しています。

世界的な成長企業も積極的に取り組んでいて、Appleは2030年までに製造サプライチェーンや製品ライフサイクルのすべてでカーボンニュートラルを実現すると表明しています。(2020年7月)また世界的な半導体メーカーのTSMCは巨大な半導体工場を熊本県菊陽町に建設中ですが、操業開始の2024年9月から、全電力を再生可能エネルギーで賄う予定です。そのために再エネが潤沢な九州電力管内であることも熊本県に決めた一因とされています。

そうした背景がある一方で非住宅建築には課題が多いです。2050 年には既築・新築平均でゼロカーボンを達成するのが目標ですが、2023年になろうとする現在時点でもそうでない内容で多くの施設が建てられ続けています。

近年の日本人は、簡単に実現できることを目標にしてしまいます。

難しくても、いや困難だからこそ挑戦しないと次のテスラやAppleのような企業は日本から生まれてこないと思います。東海道新幹線、トランジスタラジオ、CVCCエンジンなどを産み出した世代は人類の課題を世界に先駆けて解決し成功してきました。

このまま負け続けるのか、それとも挑戦するのか。どちらのほうがいいプロジェクトや面白い人生になるのか、オーナーを焚きつけ、あるいは自分自身でやって、みんなで明るい未来を作っていこうと話し多くの方に伝わったようです。

佐久穂町で空き家と断熱をテーマに講演

「住まいと教室の『断熱』勉強会」と題し開催された会で、佐久穂町で講演を行いました。4月末のゴールデンウィーク中に大日向小学校保健室で断熱改修DIYワークショップを計画しており、そこに向けて地域の方々に気候変動と断熱を知っていただきたいという趣旨です。

勉強会ではまず東北芸術工科大学の竹内昌義先生より、なぜ断熱が必要なのか、地球温暖化や社会情勢などの背景に始まり、具体的な断熱DIYの手法や事例、長野県内の学校での取り組みなど、網羅的にお話しいただきました。

僕のパートでは、断熱の効果についてと、軽井沢で先日着手したリノベ「作り手たちのアトリエ」を題材に、「どうやってやるのか」「費用と時間がどのくらいかかるのか」を説明。

大日向小学校の関係もあり移住者は多いけれど良質な賃貸はなく、一方で空き家はたくさんあります。空き家の持ち主にはこうすれば放置している建物を活用できる、また家探しをしている人にはこうすれば費用を抑えて性能のいい家を手に入れることができると思ってもらえるような話をしました。

多くの人に身近な話題として聞いていただけたと思います。

質疑応答では、参加された方々から自宅の寒さや改善策について色々質問が出て、非常に活発な時間となりました。地域のみなさんがどなたでも参加しやすいようにと、あえて事前申し込み制にしなかったところ満員、一部の方々にはサテライト会場でオンラインで観ていただくほどとなり、関心の高さがうかがえました。